土地選びは家づくりのスタートでもありますが、逆に家づくりのすべてを決めてしまう可能性もある重要なポイントでもあるのです!
家づくり初心者が単独で土地だけを見て決めるのは要注意!!その安易な決め方では、35年間後悔を持ったまま返済をするハメになってしまいます。
それでは、どのようにして選べば良いのか住宅営業30年の知識と経験でひも解いていきます。
不動産チラシから読み取る
まず土地を探すと最初にたどり着く不動産情報は「不動産チラシ」があります。これには折込やポスティングで配布される紙面版とネットで開示されているWeb版があります。どちらも記載内容は一定の基準がありサンプルの不動産チラシをベースに話を進めていきましょう。
例えば、このような不動産チラシが入ってきたらどんなところを注目しますか?
あとは、やっぱり場所!学校の送り迎えや買い物だって毎日のことだし。
このような進め方は、間違えとは言いませんが正解ではありません。
同じひとつの土地に3つも5つも金額的指標があるって不思議ですよね。(今回は、各指標の具体的説明は省きます)
1.お客さま目線で見る土地
普通の人は売地チラシのどんなところを見るかというと
①物件所在地
まず気になるのが土地の所在地です。この情報から職場までの距離や実家までの距離などをイメージします。
②価格
自分たちの予算に合うのか?相場感をこのチラシの価格などから覚えていきます。
③周辺環境
小中学校区や最寄りの駅・バス停の情報。基本的な土地の概要情報をつかんでいきます。
④区画情報
物件の形状・道路との接道状況、場合により団地全体の区画全体像の情報がわかります。
⑤建物イメージ
どのくらいの大きさの建物が入るか参考プランの図面でイメージがわきます。
事前知識ない状態では、以上のようなわかりやすいポイントでチラシをチェックするケースがほとんどです。
これは、ごくごく当然の内容で間違っているわけではありません。
2.建築会社目線で見る土地
それでは同じ情報のチラシから建築会社は何を注目して見るのでしょう
建築会社は不動産チラシでこんなところを見ています。
①、①’建築条件付
建築条件付売地とは土地の契約後指定の建築会社で建築をすることを条件とした土地のことです。この場合建築条件を外すことができないと他社での建築ができません。お客様からしたら建築会社を選ぶことができなくなる条件です。
ちなみに物件によっては建築条件を外せる場合もあります。
②敷地条件
ここに書いてある内容の確認を必ず現地で確認します。高低差によって発生する工事・費用の検討、略図に現れていない電柱・引き込み線・ゴミステーション・消火栓など建築に関わる項目を洗い出します。
③物件情報
ここには小さくたくさんの情報が列挙されています。お客様の望む建築が提案可能か検討します。取引形態やその他の付帯条件など資金計画に関係しそうなポイントを確認します。
④区画図
区画図と合わせ現場にて近隣建物の状況、略図にない周辺環境をチェックします。日当たり、道路側溝のフタの有無など。
⑤その他費用
チラシの記載されている金額に含まれているもの、含まれないものの確認を行い正確な資金計画に反映させます。
⑥不動産会社の確認
不動産会社が過去に付き合いがあるか。建築部門の状況・連携している建築会社の調査。
お客さまの目線とは、だいぶ違ってきてますね。土地購入の後が自分たちの仕事になるから当然ですが、まさに建築目線の見方です。
3.不動産目線でみる土地
不動産は売る方なので何を伝えたかったで見ていきます。
①速報
速報ですよ!情報を出したばかりです早くしないと無くなりますよ。早く買ってね。
②建築条件付
建築条件付って書きましたからね!あとから他で建てたいとか無しですよ。もし建物契約しなかったら土地返してもらいますよ!!
③高低差僅少
高低差あるって書いてますよ!平らにしてくれとか言われても知りませんよ。ちゃんと読んでね!
④物件情報
消費者を騙していませんよ!ちゃんと書いてます。小さいのは記載事項をちゃんと書いているからスペースの関係で小さいだけですよ。
⑤建物価格
A区画で参考のプランの提案です。こんな金額で土地建物買えますよ。ちなみに参考ですセットプラン売りじゃないですよ。
⑥その他多数のプラン用意してます
たくさんプランあるから指定会社で建築してくださいね!
不動産業者の方すみません。多少誇張して心の声を文字に起こしてみました。
三者三様の土地模様
お客さま、建築会社、不動産会社それぞれ土地に対するスタンスの違いから説明する内容が違ってくるのが何となく見えてきたのでは無いでしょうか。
不動産会社は「土地を売る」
建築会社な「建物を建てる」
お客様は「土地を買って+建物を建てる」
つまり施主であるあなたは土地を決める際には、そのあとの建築も含めて進めないと
○○ハウスで建てたかったのに建てれなかった
建物に予算が回せなくなって希望の家にならなかった
理解していない制限が多くて予定外の費用がかかった
後悔は先に立たずになってしまわないように土地選びは慎重に進めましょう。
土地選びの準備
①おすすめしたいのが資金計画の骨格を作っておくことです。
最終的なものは建築会社と詰めていくことになりますが総体予算を持って土地と建物にかけられる予算のアウトラインを知っておくことが大事です。
《総体予算の考え方は》
②次に建築会社を何社か絞っておきましょう。
できれば土地の検討の時に一緒に相談に乗ってもらえる会社を何社か決めておくと各社に土地に対する意見を聞くことができます。
また、建築会社(設計事務所・設計士)を通して土地をみると土地の活かし方を提案してくれます。
「小さくて狭い土地」「変形した土地」「傾斜地」など条件が悪くて安い土地を魅力的な土地に活かす魔法を持っているのも建築会社です。
自分たちだけなら選べない格安物件で小さくても良質な暮らしを手に入れるチャンスです。
土地の選ぶには3つの視点があることを知って建築会社(設計事務所・設計士)と一緒に土地を選ぶことがおすすめします。
今回は意図的に不動産会社をやや悪者的に書いてしまいました。不動産会社の中にもいろいろな会社があり建築にも精通した会社もありますので積極的に話を聞いて確認してください。
ここにも注目!!
国土交通大臣(1)第1111号 ⇦これは不動産の免許番号でチラシだけでなく店舗にも必ず表記しなくてはならないモノです。
この中で知ってもらいたいのがカッコの中の数字です。これは免許の更新回数を表す数字になっており5年に1回の更新ですので、この番号が大きいほど古くから不動産業を行っているという証となります。信用の一つのバロメーターといえます。
ちなみに国土交通大臣のところが都道府県知事の免許番号もあり、なんとなく国土交通大臣の免許の方が上のような気がしますが全く関係ありません。単に二つ以上の都道府県で営業している会社の免許番号が国土交通大臣になるだけですの豆知識として覚えましょう。