街中や住宅街を歩いているとパッと目を惹く住宅があります。
大邸宅ってことでもないのにナゼか惹かれる感じ・・
きっとアナタの好みの家だったのでしょう。
知人や知り合いだけでなく通りかかる人が良くも悪くも目にする外観。
そのパッと見の印象で家の雰囲気がイメージされます。
家のイメージを決定づける要素の外観デザインですが、ある調査では[家で重要視する項目]では下から三番目約20%という結果でした。
もったいないですね。
ハウスメーカーや工務店からの提案でなんとなく進めてしまって大丈夫ですか?
せっかくの注文住宅、外観デザインにも是非こだわって計画しましょう!
ちょっとのこだわりで家の印象が劇的に変わります。
そこで今回は、住宅業界に約30年身を置き1,000軒以上の実績を持つ元住宅営業マンの実体験を元に、これから家づくりを始める人・外観のデザインで悩んでいる人むけに外観デザインの大きな要素となる屋根型5パターンと外観デザインの基本的考え方を解説していきます。
今回のポイントを踏まえて素敵な家づくりを楽しみましょう!
外観デザインを決める屋根型5つのパターン
それでは外観デザインを決める大きな要素の屋根型を5つのパターンに分けて解説します。
今回は比較しやすいように同じ間取りで屋根型・窓・ベランダの変更でどのくらい印象が変わるかシミュレーションしてみていきましょう。
サンプルプランとしてMEGASOFTさんの3Dマイホームデザイナーの間取りサンプルを利用します。
3Dマイホームデザイナーで玄関の向き[南向き]広さ[35坪以下]で検索。
インナーガレージのあるプランを選びました。平面図は下の図面を参照ください。
標準で入っていた外観パースです。ごくごくオーソドックス(良い意味で)な寄棟プランです。
1.寄棟(よせむね)を使った外観
形 状:寄棟屋根は四方から屋根をかける形状
印 象:優しい・重厚感[ゆるやかな勾配(屋根の角度)の場合]
変更点:軒裏の木目・鼻隠し色変更
サッシカラーの変更
ベランダ勝手口の高さ
ベランダ形状の変更
幕板(中間の帯状の板)の撤去
外壁の変更
概 要:サンプルプランと基本構造が変わらないため大きな印象の変化は少ない。
平坦な印象になりやすいので玄関正面の壁とインナーガレージの一角にアクセントをつけた。
2.切妻(きりづま)を使った外観
形 状:切妻屋根は2方向から屋根をかける形状
印 象:基本的なデザインでスッキリとした印象
変更点:屋根材の変更
サッシ形状の変更
サッシカラーの変更+トリムの設置
ベランダ勝手口の高さ
ベランダ形状の変更
幕板(中間の帯状の板)の撤去
外壁の変更
概 要:洋風住宅をイメージして重厚感のあるレンガ調の外壁に窓トリムを設置。
二階の窓を上げ下げ窓に変更しリズム感を演出。
3.段違い(だんちがい)を使った外観
形 状:段違い屋根は2方から屋根をかけ棟の高さを変えた形状
印 象:シャープデザインで躍動感がある若々しい印象
変更点:サッシ形状の変更
サッシカラーの変更
ベランダ勝手口の高さ
ベランダ形状の変更+大きさの変更
幕板(中間の帯状の板)の撤去
外壁の変更
概 要:屋根の段差がアクセントとなり特徴的なシルエットになる。
ワンポイントで木を使うことによりより躍動感が演出される。
4.陸(ろく)を使った外観
形 状:陸屋根は平らな屋根形状
印 象:ボックス的で重厚・都会的な印象
変更点:サッシ形状の変更
サッシカラーの変更+トリムの設置
ベランダ勝手口の高さ
ベランダ形状の変更+広さの変更
幕板(中間の帯状の板)の撤去
外壁の変更
概 要:四角いシルエットに合わせ塊感のでる外壁に変更。
BOXを重ねたイメージを作るためベランダと凹凸部分の外壁にアクセント。
陸屋根に似たシルエットにする方法として三方パラペットの片流れ屋根という屋根もあります。
正面の反対側に片流れで勾配をとり残り三方にパラペットを立てる。
裏から見ないと四角いシルエットとなり陸屋根風となります。
5.片流れ(かたながれ)を使った外観
形 状:片流れ屋根は1方から屋根をかける形状
印 象:直線的なデザインでスッキリとした印象
変更点:軒の出の変更
サッシ形状の変更
サッシカラーの変更
ベランダ勝手口の撤去
ベランダ形状の変更+広さの変更
幕板(中間の帯状の板)の撤去
外壁の変更
概 要:できるだけ立体の構成要素をスリム化することで軽快な印象。
シンプルな外壁とアクセントの木がナチュラル感を演出。
切妻屋根の向きを考えた外観
形 状:切妻屋根の屋根の流れ方向を90度変えたプラン例
印 象:ベランダを無くし下屋を連続させ落ち着いた印象
変更点:軒裏の変更
サッシ形状の変更
サッシカラーの変更
ベランダ勝手口の撤去
ベランダから下屋に変更
幕板(中間の帯状の板)の撤去
外壁の変更
概 要:下屋をつくることで外との関係性もあがり木の外壁で小屋感を演出。
同じ切妻屋根も正面に対して90度角度を変えると印象がガラッと変わる。
今回紹介した一般的に多くみられる屋根型以外にもたくさんの形があります。
外観デザインを決める要素
外観デザインの大きな要素となる屋根型を説明してきましたが、それ以外にも外観デザインを構成する要素はたくさんあります。
それでは、どんなモノが外観デザインを決めていくのか一つずつみていきましょう。
方位によって変わる外観
外観デザインを考える最初のステップは、ファサードと呼ばれるデザインを決定づける正面をどの面で考えるかというモノがあります。
一般的には、道路面から見える面を正面として計画するケースが多くありますが外構のアプローチ、道路条件などにより変わります。
外観デザインの起点になる正面が決まればイメージのシルエットになる屋根型を採用したプランを考えていけば良いのですが、最近標準で装備されることもある太陽光発電を導入予定の方は注意が必要です。
太陽光発電の発電効率・設置容量を考えると思った屋根型にできないケースもあります。
この場合、外観デザインか太陽光発電かどちらかに妥協が必要となることがありますので事前に検討をしておきましょう。
屋根以外の外観の構成要素
①屋根材
屋根型と合わせて検討しておきたいのが屋根の仕上げとして使う材料。
主な素材としては、瓦(和・洋)・金属(ステン・ガルバリウム)・スレート等があります。
この他に雨樋の形状・色なども構成要素として入ってきます。
②窓
窓には大きく分けて3種類(木製・金属・樹脂)のタイプがあります。
窓の見せ方の基本としては「高さを揃える」「大きさを統一する」などが基本です。
また、窓廻りには雨戸・シャッター・トリム・手摺などの要素も含んできます。
③外壁
外壁材の種類は豊富で施工する面積も大きいことからイメージを構成する大きな要素となります。
主な種類としては、「窯業系サイディング」「金属サイディング」「樹脂サイディング」「タイル(湿式・乾式)」「ALC」「塗り壁」「羽目板」などがあります。
④玄関
玄関ドアは、家の象徴的なイメージにもつながる要素です。
大きく分けると「開き戸」「引き戸」の2種類。開き方によりさらに細かくタイプが分かれます。
契約が終わってコーディネートの段階で細かい説明がある場合が多いようですが、プラン段階からイメージを決めておくと追加やイメージのズレが減ります。
外観要素が制限されるケース
①高さの制限
建築の予定地には場所ごとに高さに関する制限が設けられています。
主な制限は「道路斜線」「隣地斜線」「北側斜線」「高さ制限」などがあります。
詳しくは、相談先の会社で確認しておきましょう。
イメージで緑色が制限された空間でこの中に建物を納める必要があります。
イラストの場合飛び出ている屋根の変更が必要となります。
②防火の制限
防火の基準が設けられている地域は、必要な防火性能を確保する必要があります。
このため外観に使う素材によっては制約を受けるケースがあります。
③建築協定の制限
住宅地の中には良好な住環境を維持するために「建築協定」を設定している団地などがあります。
団地ごとに外観に関する条件が決められていますので土地を検討する段階からチェックしておきましょう。
具体的な検討は、建築会社の設計部門がチェックしていきすのでお任せで大丈夫です。
ただし、あらかじめ幾つかの制限があることを知って土地選びをしていかないと、買ってから思った家の外観ができないなんてケースになっちゃいますので注意しましょう!
その他外観デザインで気をつけたい要素
・エアコンの室外機
・ガス給湯機やエコキュートなど
・電気・ガスメーター
・引き込み線取り付け位置
外観デザインまとめ
今回は、建物単体で外観デザインについて考えてきましたが本来は設計の段階から外構工事も踏まえて外観デザインを考えて設計していきます。
ところが多くのハウスメーカーや工務店では、初回提案の図面を営業が書いているのです!
結果として外観デザインや外構を計画していない建物だけのデザインで魅力のない住宅が出来上がってしまいます。
そうならないためには、まず自分のイメージの家がどういったスタイルなのかアウトラインを持っていることが重要になってきます。
外観のデザインは、プランに合わせて変更することも可能です。
自分の好きな外観スタイルを住宅会社に伝えて同じ間取りで何パターンか作成してもらうのも一つの方法です。
ただし、外観のデザインばかりに気をつかっていると予算が大幅に上がってしまう場合もありますので予算を確認しながら進めていきましょう。
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