住宅団地ではハウスメーカーから地元ビルダーまで非常に様々な住宅がお客様の個性をカタチに変え、住宅展示場のごとく建ち並んでいます。コーディネートになりアレやコレと参考になる住宅を探して散策した経験がある方も多いのではないでしょうか。
住宅の外観イメージに大きなウェイトを占める要素の一つそれが外壁材です。
外壁材と一口に言っても様々な種類がありその特徴や、メリット・デメリットをすべて知るのは至難の業です。そんな住宅の外壁材ですが実は1強が独占しているのが実際の現実なのはご存じでしょうか。
その外壁材こそ今回、取り上げる『窯業系サイディング:ようぎょうけいさいでぃんぐ』なのです。
日本サッシ協会がまとめた戸建住宅市場における外壁素材別シェアでみると実に78.3%と圧倒的なシェアを誇っているのが窯業系サイディング。多いとは思っていた人も驚く独占状態です。
このように圧倒的シェアの窯業系サイディングですが知っているようで知らない素材であり、新築の打ち合わせで初めて「窯業」なんて言葉を知った人も多いのではないでしょうか。
外壁材の窯業系サイディングってナニ?
窯業系サイディングの正体は、セメントや繊維質などを主原料とする板状の外壁材です。
ちなみに名前にある窯業とは、製造過程で窯を使い高熱処理をされるために窯業系という名称で呼ばれています。
■国内の主な窯業系サイディングのメーカー
窯業系サイディングの3つのメリット
窯業系サイディングのバリエーションがエグイ
新築するからにはやっぱり自分らしいオンリーワンの家にしたいと思うのが人情というもの。窯業系サイディングの最大のメリットと言えるのがデザインのバリエーション。
各メーカー毎に様々なデザインを取り入れた外壁材を製造しており多すぎて選ぶのに困ってしまうくらいです。
ケイミュー株式会社:フィエルテ
昔ながらのタイル・レンガ調、木目調から進化した表現力(塗装技術)は、金属の錆感や大理石の質感まで表現できるようになってきました。
窯業系サイディングは防・耐火性能が凄い
窯業系サイディングがセメントを主原料としているため防・耐火性能に優れています。建物の防火性能は、外壁材・断熱材・面材などの組み合わせで防火の認定を取得しています。
窯業系サイディングは高い防火性能のおかげで内装の組み合わせの自由度が高く、結果として外観だけでなく内観の自由度も高くしてくれます。
ニチハ株式会社:モエンエクセラード
窯業系サイディングはコストパフォーマンス抜群
市場の独占状態からわかるように新築ではスタンダードになっている外壁材が窯業系サイディング。結果として大量生産の体制が構築されておりスタンダードタイプでは抜群のコストパフォーマンスを発揮します。
窯業系サイディングの2つデメリット
窯業系サイディングは重い!
窯業系サイディング 18.9㎏/1㎡
金属サイディング 3.8㎏/1㎡
樹脂サイディング 2.6㎏/1㎡
※各外壁材・メーカー・厚みなどで実際の重さは変わります。一つの目安としてご覧ください。
見ての通り主な外壁材の中でも窯業系サイディングの1㎡当たりの重量は、約5倍以上と他の外壁材と比べてダントツに重いんです!
30坪の家の外壁面積が130㎡とすると外壁だけの重さでも2,457㎏お・重い・・
新築ではありませんが外壁のリフォームで既存の外壁を剥がさず重ね張りしているケースもありますが、元々耐震性の低い住宅に重い外壁を重ねて張るなんて耐震性の検討をしているのか心配になります。
窯業系サイディングはメンテナンスコストが高い!
窯業系サイディングは素材的に水分が浸透しやすく、汚れも付きやすいため基材の上に塗装をしてコーティングすることにより耐久性を確保しています。
そのため、塗膜面が剥離したり、傷ついたりして痛んでしまうと耐久性が極端に低下してしまいます。それを防ぐためには定期的な塗装などのメンテナンスが必要となります。
また、外壁材と外壁材を繋ぐ個所や窓周りなどの開口部周辺などに防水用のシーリング材といわれる防水処理が必要となります。このシーリング材も劣化するため外壁だけでなくシーリング材の打ち換えも定期的に必要です。
耐久性の高い外壁材と高耐久シーリングは確かに大切。ところが同じくらい大切なのが施工品質!
外壁のジョイント部分以上に大切なのは、外壁の切断面のシーラー処理。
この切断面の小口処理や縦張りの時の下端の処理をしっかりしていないと、そこが原因になって劣化が進んでしまうこともあります。
ただし最近の高級グレードの商品では塗膜の30年保証や高耐久シーリングの15年保証などメンテナンスコストが安くすむ商品も開発されています。
ニチハ株式会社:メンテナンスコスト
窯業系サイディングに潜む地雷
見た目じゃわからない罠!
たくさんのデザインからコーディネートできる魅力的な外壁材の窯業系サイディング。
ところがそんな窯業系外壁材の中でも注意しなくては、いけない危ないモノがあるのです!
それは厚み14㎜のシリーズ!
最近では、標準で採用されている外壁材は16㎜からが多いですが工務店やローコスト住宅んなどでは標準で選べる外壁材が14㎜のシリーズの場合があります。ナゼ14㎜がダメなのか?
14㎜の窯業系サイディングの止め方は標準で釘打ち施工になっているからです。釘打ちってことは大切なはずの塗装面に穴を開けるコト。更に打ち方が悪いと穴以外の場所にも傷をつけるなんてことも多々あります。
補修液で補修するから大丈夫なんて言う会社もありますが補修液は後々変色し余計に汚く見える結果になりがちですので要注意です。
塩害にも強いんです!?
一般的な金属サイディングと違い窯業系サイディングは塩害に強いと言われています。
がっ!!
確かに基材と言われる素材部分は錆びることもなく塩害に強いですが、海岸線での建築に使うと思わぬ落とし穴が待っているんです!
実は、海岸の近くは風もおのずと強く一年を通して細かい砂粒にさらされているおかげで塗装面が早く傷ついてくるんです。これは海岸だけでなく土のグラウンドの近くでも同じような事例が報告されています。
外壁の王者 窯業系サイディング
・デザインが豊富
・防火性能が高い
・コストパフォーマンスが良い
・外壁材として重い
・メンテナンスコストが高い